轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

のぶこ

伸子

宮本 百合子

「改造」1924(大正13)年9月号~1926(大正15)年9月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 232,543 字 · 466 页

青空文庫

尋常に、妻の両親にも会わせて帰したいのは、自然なことであった。けれども、佃は、去年往来を絶ったまま、何の諒解もなく今日まで来ていた。祖母の、理窟ぬきに懸命な心遣いに動かされて、伸子だけ、春から、たまに出入りし始めた。歪んだ関係であった。和解のできていないところへ、だしぬけに電話一通の、しかも押しつけがましい気もしないではない前触れだけで、老人を連れて行こうとする佃の態度には、欠けているもののあるのが感じられた。

鍵の手になった縁側の彼方では、老人が背中を日に暖めながら、二人の声を無心に聴いている。伸子は云いたいことの半分も口に出しかねた。

「私に云ってからにして下さるとよかったわね……それだけじゃあすまなくてよ」

彼は、黙って伸子と眼を見合せていたが、やがて、

「まあいい」

断念したように云った。

「明日またかけて見りゃわかるでしょう」

そして、座敷へ去った。父子の話声がした。

「今日は一つ上野へ出かけましょうか」

「偉い人なこっちゃろうな、しかしいつと云うて、すいた時はあるまいから――」

老人は乾いた咳をした。

「……伸子さんはもうおいきたのか?」

「まだです……あんまり好きでないんでしょう」