轻松读懂日语经典作品
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かちうんまけうん
勝ち運負け運
佐々木 邦
「キング」大日本雄辯會講談社、1934(昭和9)年1月~12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 119,262 字 · 243 页
僕はそう気がつくと直ぐに国分さんへ駈けつけた。老先生がまだ存命の頃だった。
「成程ね、菊太郎さんの病気は君がいつも貰っていた」
「それだから危いんです」
「宜しい。予防をして置きましょう」
と言って、国分さんは注射をしてくれた。
菊太郎君はナカ/\手重かった。病症が病症だから、僕は家へ見舞いに行くだけにしていたが、或日、菊太郎君のお母さんが病院の帰りに寄って、
「日出男さん、菊坊があなたのことを頻りに口走りますから、一寸お顔を見せてやっていたゞけませんでしょうか?」
と気の毒そうに言った。大学を卒業しても菊坊だ。もって甘さが分る。心痛のほども察しられた。
「伺って宜いなら伺います。実は御遠慮申上げていたんです」
と僕は事実その通りだった。予防注射が利いているから、もう怖くない。
「あなたにお目にかゝれば力がつきましょう」
「僕に出来ることなら何でもします。何うですか? 御容態は」
「今が峠だと申します。何方へ転ぶか分りません」
「矢っ張り熱が高いんでしょうね?」
「はあ」
「困りましたな」
「譫言を申します。『日出ちゃん、先へ行くよ。先へ行くよ』って、今日はそれを幾度も申しました」