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かちうんまけうん
勝ち運負け運
佐々木 邦
「キング」大日本雄辯會講談社、1934(昭和9)年1月~12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 119,262 字 · 243 页
相撲となると、僕も多少自信がある。投げて置いて逃げ出すことを考えた。揉み合いが始まった。矢っ張り先方の方が強い。投げ出すどころか、捩じ倒されて、二つ撲られた。しかし直ぐ起き直って、又取っ組んだ。又捩じ倒されそうになったが、纔かに持ち堪えた。次に隙を見つけて、グイッと押してやった。相手は尻餅をついて、僕が上になった。
「金子君、やれ!」
と菊太郎君がいつの間にか駈けつけて、手伝ったのだった。もう一人同級生が僕の強敵を押えていた。僕は頭を三つ撲り返して、
「これでお互だ」
と断った。六年生が起き上った時、僕は又かゝって来るかと思って、警戒していた。しかしもう諦めたのらしかった。此方は三人だ。而も皆身構えをしていた。六年生は帽子を拾って、そのまゝ帰りそうにした。
「待ち給え」
と同級生が呼んだ。それは鮫島君といって、副級長だった。
「何だい?」
「先生のところへ来てくれ給え」
「…………」
「学校の帰りを待っていて喧嘩をしかけるようなら、君は不良だ。来給え」
「行くよ」
と言って、六年生は神妙につれ立ったと思ったら、いきなり僕を突き飛ばした。
「何をする?」
と鮫島君が捉えようとしたけれど、もう晩かった。