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ぜんのけんきゅう
善の研究
西田 幾多郎
「善の研究」弘道館、1911(明治44)年2月6日発行
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 123,777 字 · 243 页
人心の無限に自在なる活動は直に神その者を証明するのである。ヤコブ・ベーメのいったように翻されたる眼 umgewandtes Auge を以て神を見るのである。
神を外界の事実の上に求めたならば、神は到底仮定の神たるを免れない。また宇宙の外に立てる宇宙の創造者とか指導者とかいう神は真に絶対無限なる神とはいわれない。上古における印度の宗教および欧州の十五、六世紀の時代に盛であった神秘学派は神を内心における直覚に求めている、これが最も深き神の知識であると考える。
神は如何なる形において存在するか、一方より見れば神はニコラウス・クザヌスなどのいったように凡ての否定である、これといって肯定すべき者即ち捕捉すべき者は神でない、もしこれといって捕捉すべき者ならば已に有限であって、宇宙を統一する無限の作用をなすことはできないのである(De docta ignorantia, Cap. 24)。この点より見て神は全く無である。然らば神は単に無であるかというに決してそうではない。実在成立の根柢には歴々として動かすべからざる統一の作用が働いている。実在は実にこれに由って成立するのである。