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ぜんのけんきゅう
善の研究
西田 幾多郎
「善の研究」弘道館、1911(明治44)年2月6日発行
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 123,777 字 · 243 页
第五章 真実在の根本的方式
ただこの現象が普遍的である時即ち個人の小なる意識以上の統一を保つ時、我々より独立せる客観的世界と見るのである。たとえばここに一のランプが見える、これが自分のみに見えるならば、或は主観的幻覚とでも思うであろう。ただ各人が同じくこれを認むるに由りて客観的事実となる。客観的独立の世界というのはこの普遍的性質より起るのである。
第五章 真実在の根本的方式
我々の経験する所の事実は種々あるようであるが、少しく考えて見ると皆同一の実在であって、同一の方式に由って成り立っているのである。今此の如き凡ての実在の根本的方式について話して見よう。
先ず凡ての実在の背後には統一的或者の働きおることを認めねばならぬ。或学者は真に単純であって独立せる要素、たとえば元子論者の元子の如き者が根本的実在であると考えている、しかし此の如き要素は説明のために設けられた抽象的概念であって、事実上に存在することはできぬ。試に想え、今ここに何か一つの元子があるならば、そは必ず何らかの性質または作用をもったものでなければならぬ、全く性質または作用なき者は無と同一である。しかるに一つの物が働くというのは必ず他の物に対して働くのである、而してこれには必ずこの二つの物を結合して互に相働くを得しめる第三者がなくてはならぬ、たとえば甲の物体の運動が乙に伝わる