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ぜんのけんきゅう
善の研究
西田 幾多郎
「善の研究」弘道館、1911(明治44)年2月6日発行
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 123,777 字 · 243 页
第二章 思惟
例えば思惟或は意志において一つの目的表象が連続的に働く時、我々はこれを一つの者と見なければならぬように、たといその統一作用が時間上には切れていても、一つの者と考えねばならぬと思う。
第二章 思惟
思惟というのは心理学から見れば、表象間の関係を定めこれを統一する作用である。その最も単一なる形は判断であって、即ち二つの表象の関係を定め、これを結合するのである。しかし我々は判断において二つの独立なる表象を結合するのではなく、かえって或一つの全き表象を分析するのである。たとえば「馬が走る」という判断は、「走る馬」という一表象を分析して生ずるのである。それで、判断の背後にはいつでも純粋経験の事実がある。判断において主客両表象の結合は、実にこれによりてできるのである。勿論いつでも全き表象が先ず現われて、これより分析が始まるというのではない。先ず主語表象があって、これより一定の方向において種々の聯想を起し、選択の後その一に決定する場合もある。しかしこの場合でも、いよいよこれを決定する時には、先ず主客両表象を含む全き表象が現われて来なければならぬ。つまりこの表象が始から含蓄的に働いていたのが、現実となる所において判断を得るのである。