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ちきゅうとうなん
地球盗難
海野 十三
「ラヂオ科学」1936(昭和11)年
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 84,072 字 · 168 页
「…………」
岩蔵はそれに応えようともしなかったけれど、そのソワソワした態度は、大隅学士に少からぬ不安の念を植えつけた。
「真逆君は……」
といったとき、突然本館の方角に当って、何かガーンという金属板を力一杯殴りつけたような音響がした。
「呀ッ……」
大隅はハッと愕いて、外へ飛び出した。すると本館の五階の窓が四つほどアーク灯のような真青な閃光でピカピカと明滅しているのであった。
「おう、あれは何者の仕業だ」
この邸の中には、例の檻は別として、残っている人間は、岩蔵と、傷つける河村とそして、今入って来た大隅との二名しかない筈だった。その三人はいずれも門脇の小屋にこうして集まっている。それだのに本館の方で、突然金属板を叩くような物音がしたり、アーク灯のようなものがピカピカ輝きだしたりするとは、どうしたわけであろうか。何者かが本館の中に居るとしか考えられない。しかしそんなことはあり得べきことであろうか。
「わしは……わしは何も知らねえんで……」
と、岩蔵はオドオドした様子で、下を向いていった。
「知らない? 本当か。……とにかく僕は見て来る……」
大隅学士は勇敢にも、挺身して本館に向った。