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ちきゅうとうなん

地球盗難

海野 十三

「ラヂオ科学」1936(昭和11)年

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 84,072 字 · 168 页

青空文庫

大隅学士は、廻転窓の枠につかまって、なおも室内を窺いながら、不図そんなことを思った。学者のくせに、幽霊だと思うなんて、全く恥かしいことだったけれど、殊更そんな恥かしい思いつきをするのも、その怪物があまりにも人間の常識を外れたものだったからであった。

(こいつ等が、もし幽霊だとしたら……そうだ、幽霊は日本語がわかる筈だ。一つ、勇敢に話をしてみようかしら?)大隅がそう考えているとき、室内の白い半透明の怪物は、何かに愕いたものと見え、急に一ヶ所に頭を寄せ集めると、なんだか盛んに頭をふりながら協議をしている様子だった。なにを始めるのかなアと思っているうちに、突然そのうちの二匹が集団をスーッと離れると、いきなり大隅の覗いている戸口の方へ向け、まるで人魂のように飛んできた。

「呀ッ!」

と、大隅が声をあげたときは、もう既に遅かった。半透明の白幽霊は、廻転窓にぶら下っている彼を左右から挟んでしまった。

大隅は、その白幽霊が、ドアを開けもしないのに、それを突き抜いて、廊下へ飛び出してきた奇怪さに、ゾーッとした。幽霊は物理学に反抗する! いよいよこれは幽霊だ。

“君、そこを下りて、室内へ入って下さい。