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ちきゅうとうなん

地球盗難

海野 十三

「ラヂオ科学」1936(昭和11)年

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 84,072 字 · 168 页

青空文庫

そして大隅の方を見て、さも可笑しそうに笑った――というと、これも説明しなければ分らぬが、そのときその得態の知れない白幽霊の笑った顔が見えたというのではないが、なんとなく笑ったように感じたのであった。恰も

“なんという、不便な身体をもった男だろう。あッはッはッ”

という風に……。

大隅学士は、額から脂汗を流しながら、室の中央に蝟集している白幽霊の一団の前に進みいでた。彼はこわごわ彼等の様子を観察した。彼等はまるで白寒天のように半透明であった。身体の大きさは人間より一まわりほど大きかった。一言でいうと、彼等は西洋の幽霊そっくりだった。つまり人間が頭からスッポリと白布を被った恰好に等しかった。しかし身体はまるでアミーバーのように、自由に形をかえられるものと見え、決して一定の形をしていなかったがそれでも大隅の顔とほぼ同じ高さのところに首らしいものがあり、そしてその中にはどう見ても眼玉と覚しきダイヤモンドのように光る丸いものが嵌めこまれていた。しかしその眼玉は人間のように二個ではなくて、三個であった。その三個の眼玉の間隔はたいへん離れていて脊柱(もし有るならば)を中心として約百二十度ずつ開いた角度のところに嵌まっていた。