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ちきゅうとうなん

地球盗難

海野 十三

「ラヂオ科学」1936(昭和11)年

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 84,072 字 · 168 页

青空文庫

さあ、ではこれからソッと武夫君を見せてあげますから、私の背中におんぶなさい」

大隅の真心が通じたのか、この重傷者は、とうとう大隅に身体を預けた。

二人が入口に出ると、そこにいると思った岩蔵はどこに行ったか姿が見えなかった。大隅は河村をおんぶしたまま、庭づたいに、あの大きな檻のある森の方へヨチヨチと歩いていった。

さすがの父親も、木立の隙間から、電灯明るく輝く檻の中を望んで、男泣きに泣いた。伜がこうまで悲惨な化物になっているとは、檻を望むまでは知らなかった。彼は大隅の注意によって、一生懸命声を呑んだ。再び病床のところへ帰って来た河村は、さっきとはまるで別人のように大隅に対しては従順になっていた。

「……知らなかった、知らなかった。あっしは貴方に恥かしい。お礼を云いますよ、お礼を……」

「……では、教えて下さい。辻川博士と外国船との間には、どんな取引が行われたのです」と大隅は、この機会を逃がしてはと、問いかけた。

「それはよく知らない。イヤこれは本当に知らないんだ。俺たちは、辻川博士の命令に従って、荷物を船に搬んだり、船から荷物をこの邸へ持ってきたりしただけだ」