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ちきゅうとうなん

地球盗難

海野 十三

「ラヂオ科学」1936(昭和11)年

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 84,072 字 · 168 页

青空文庫

隕石の秘密

それは決して不可能ではありません。現にウラゴーゴル星は地球に向ってそれを断行したのです。わが地球はウラゴーゴルのために手許へ引き寄せられました。つまり地球は久しい以前から盗難に遭っていたのです」

「盗難? 地球が盗まれていたというのか。いやこれは面白い。地球盗難か。ずいぶん大きなものを盗んだものだな。はッはッはッ」

と、河内台長は上機嫌でもって、いつまでもカラカラカラと笑いつづけた。

隕石の秘密

大隅学士の「地球盗難説」は、俄然世界の学界に一大センセイションを呼び起こした。

大隅説に大賛成を表して、これこそ有史以来の大発見だというものがあるかと思えば、一方では大隅説を邪説の甚しきものとして極力排撃し、殊に大隅説の弱点を指摘してその説明がつかないうちは、彼を学界から除名しろなどという尻の穴の狭い連中さえ現れるに至った。

大隅説の弱点というのは、「ウラゴーゴル星は、如何にして地球を手許に引き寄せたか。その方法が説明されていない」というのであった。

この弱点と称するものは、本来研究というものから云えば大したものではなく、大隅学士の功績は成長異常現象の発見だけで沢山である。