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ちきゅうとうなん

地球盗難

海野 十三

「ラヂオ科学」1936(昭和11)年

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 84,072 字 · 168 页

青空文庫

それを適当に組合わせてそれぞれの答を得るのも面白いことだが、その答の奥の奥にまた一つの大きい答があるような気がする。それは一つの世界を誘導することになる。たとえば個々の未知数を解いてみたらば、これが悉く無理数であって、それでわれわれはその無理数の形づくる無理世界を想像することを強いられるかもしれん。その無理世界を確認した暁には、われわれは逆に今日われわれが唯一無二だと信じているこの実在世界の絶対性を否定して、今まで実在世界だと思っていたのは或るホンの一例題の世界に過ぎなかったのだと、自殺的結論を建てなければならなくなるかもしれない。ああ何という遥けき真理、ああ何という恐ろしき疑惑……」

「おお先生。……」と佐々記者はイキナリ立ってビールの泡だった洋盃を大隅学士の頭の上に載せていった。

「そんな珍糞漢糞の寝言は後廻しにして、われわれはいま、冷静且つ果断に事件の心臓部を突破せにゃならないんだッ。それは辻川博士の邸内に忍び入って、博士の秘密を発いてしまうことだ。さあそれに賛成して立ち上れッ。それだけ云っても、まだムニャムニャ寝言の続きを云うようだったら、この冷たいビールを襟首へぶちまけるがどうだ!」