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ちきゅうとうなん
地球盗難
海野 十三
「ラヂオ科学」1936(昭和11)年
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 84,072 字 · 168 页
その第四号の檻の中には、一体どんな生き物が入っていたのだろうか?――実にそれは、魔の森に分け入って行方の知れなくなった武夫少年だった。いや、もっと正しくいえば武夫の化物だったという方がいいかも知れない。なぜなら、檻の中に収容せられていた武夫少年は、昔日のような可愛いものではなく、身長、実に三メートル余――というから、背丈が一丈を越える大入道となっていた。これを見た大隅学士が脳貧血を起したのも無理がなかった。全くもって、この世の中ではあり得べからざる異変も異変、大異変だった。
辻川博士の庭内に造られた鉄檻には、不思議にもこうした巨大な生き物ばかりが聚められてあったのである。嘘のような巨大な生き物! どうしてこんな怪物が生じたのであろう。そしてなぜまた、このようなグロテスクな大入道ばかりが矢追村に発生したのだろう。
この疑問に対してまず誰でもが想像し得られる一つの解釈は、この怪邸宅の主である魔人辻川博士が妖術をもってこんなグロテスクな生き物を作ったのではないかということだった。これは辻川博士の正体がまだハッキリしないので、只今は軽々しく口にすべき問題でないかもしれないが、しかしこの多種な大入道が悉く博士邸内に集められていることからして、そんな風に疑われても仕方のないことだった。