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てんのう
天皇
蜷川 新
誰が日本民族の主人であるか
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 136,036 字 · 269 页
この非凡の人物を統御し、その才をのばさせたものは、蘇我氏であったことは、明らかである。蘇我氏は、稲目、馬子、蝦夷、入鹿の四代を通じ、いずれも、優れた統治者であったものと判断するのが合理的である、と私は考える。
仏教の渡来にともなって、日本はかなりな文化の国となったことは、なんびとも認めるところである。そのまえには、日本民族には、儒教はすでに入っていたにしても、文化の民族であったというほどの歴史は見られない。六十年におよぶ蘇我氏三代の統治のあいだ、天皇に、一人でも優れた人物があったとは、見ることはできない。平凡な人のみであった。その間に傑出していた人といえば、蘇我氏と聖徳太子のみである。
この両者によって、天皇はきめられ、憲法も定められ、仏教は興隆され、医学、音楽も、はじめて輸入された。小野妹子や犬上御田鍬は、ふたたび隋に派遣され、多くの留学生も送られた。そうして、天皇紀、国紀は編纂され、唐の使節は来たのである。日本民族は、いまだかつて見られなかった一大発展を、内に外になしとげている。権力者の事業であること、言うまでもない。
新村出編『聖徳太子年譜』