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てんのう

天皇

蜷川 新

誰が日本民族の主人であるか

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 136,036 字 · 269 页

青空文庫

と、全国の学生にたいして暗記を要求し、高らかにうたわしめた文部省の政策は、じつに人権無視のはなはだしきものであつた。それが、人権尊重の国と戦ったのである。まことに、「人間と奴隷との戦争」に似ていたのである。日本の敗北は、はじめから必然であつた。山崎闇斎の勤王論は、人民を亡ぼして、奴隷となす方式であつた。

滝川政次郎氏の著書『日本歴史解禁』のなかに、

「平田篤胤は、人格下劣な大山師であつた。この大山師のインチキな思想によつて、維新の功臣たちが指導されたことは、正に日本国民の大なる禍であつた。明治政府が、百年の齢を保ちえずして、崩壊した根本原因は、ここにあるものと、私は考える。」(同書一七ページ)

と書いてある。歴史家の正しい意見として、私はそれに共鳴する。ただし「維新の功臣」と言われているが、それは誰を指して言われたのであるか、その点は、私には疑問である。攘夷を叫んだ危険人物は、断じて日本国の功労者ではない。

維新がなつてのち間もなく、薩長政府は、楠正成を神として祭り、また織田信長を忠臣として追賛したりしている。その楠氏は、はじめには北条幕府のために、大いに尽くした武人である。