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てんのう

天皇

蜷川 新

誰が日本民族の主人であるか

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 136,036 字 · 269 页

青空文庫

8 維新以後の反民主性

そうして、ついには、世界征服の暴挙をさえ、軍人と右傾政治家どもが、肩を張って叫ぶようになり、世界の人類にわざわいするにいたったのである。

かえり見て、明治時代に思いをいたすならば、明治時代こそは、人民のために、世界のために、礼賛しうべからざる時代であった。このことを明らかにし、ふたたび、かかる時代の生じないことを、念願せざるをえないのである。

8 維新以後の反民主性

「万機公論に決すべし」という誓文を抹殺した明治政府の反民主主義と、天皇権力の強化という事実は、ただ、たんに勅語のうえだけの事実ではない。それは何よりも、明治憲法によって、不動の態勢をかためたのである。そうして、それらのことはみな、薩長政治家によって、たくらまれたのであった。一八六八年三月の「五箇条の誓文」についで、さきに述べたように、同年四月の「政体書」には、「大に斯の国是を定め、制度紀律を建つるは、御誓文を以て目的とす。」と、その冒頭に記載され、その第一条には、「天下の権力総て之を太政官に帰す。」とかかげられた。これによってみても、明治政府もはじめは、天皇権力の万能主義ではなかったことが、明らかである。