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てんのう

天皇

蜷川 新

誰が日本民族の主人であるか

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 136,036 字 · 269 页

青空文庫

軍人に賜わった五箇条の勅諭も、真赤な嘘であった。

憲法発布の勅語だの、憲法にかんする勅語だの、「告文」だの、また昭和時代に世人がとなえた「国体」なども、いずれもみな、日本の歴史から遊離した一種の政略宣伝であった。旧憲法時代には、勅語を批判することは厳禁されていたがために、天皇の一方的な言動のみをもって、人民は、天皇と政府の欲するがままに引きずられ、欺むかれていた。そうした不合理なことを、人民はそのままに信じこんで、それを世界にたいしてさえも、誇っていたのであった。

こうした偽りをそのまま信じこんでいた日本人は、こんどの敗戦によって、いくぶんか醒めることができた。しかしまだ、目の覚めないものがすくなくないのである。それは、事の善と美と真とを好まない人である。歴史の研究を志さない非文化人である。彼らは、日本民族の今後の進歩のために、無益であって、有害の人びとである。科学への反逆者である。人類の幸福に、わざわいする人びとであると言えるのである。

明治の憲法にかんする勅語(明治二十二年二月十一日)の一節には、「国家統治ノ大権ハ、朕力之ヲ祖宗ニ承ケテ、之ヲ子孫ニ伝フル所ナリ。