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おんなきしゃのやくわり
女記者の役割
野村 胡堂
「文芸倶楽部」1930(昭和5)年3月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 16,039 字 · 32 页
「それで、犯人の見当が付いたのか」
「イヤ、付いたような、付かないような――実を言うと、君を煩わして、最後の決定をして貰うために此処まで誘って来たのだ」
「と言うと――」
「今晩、そのために私は、あのカフェー人魚へ行って居たのだよ。あすこは、新聞記者の巣見たようなところだから、出入の人の話を聴いて居る内に、何んか暗示を掴むことが出来るかも知れないと思ったのだ」
「で?」
「果して、君も聞いた通り、あのカフェーで特種競争というのが始まった」
「僕も後から行ってよくは知らないが、言い出したのは何んでも東京新報の高城鉄也君だとか言ったぜ」
「併し、二三日のうちに、驚天動地の特種を提供して見せると言ったのは、君の社の早坂勇君だったと思うが――」
「何?」
謎は読めました。花房一郎は足の勇を疑って、同じ社の監督者の地位にある千種を、此処までおびき寄せて口占を引いて見たのです。
「そんな馬鹿な事があるものか。あの正直者の勇に、そんな大それた事が出来る筈は無い」
「イヤ併し」
「断じてそんな事は無い。第一あの壁の上の字は足の勇の字とは少しも似て居ない」
「けれども、手を変えて書くという事がある」