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おんなきしゃのやくわり

女記者の役割

野村 胡堂

「文芸倶楽部」1930(昭和5)年3月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 16,039 字 · 32 页

青空文庫

「政治ゴロの仕事なら、こんな落書をするにしても、万年筆か、少くともシャープ鉛筆を使うところだ。ところが此鉛筆は、この通り芯が太くて、色にムラがあって、粉を吹くところを見ると、余程粗悪な石墨を使った、一番下等な品だろうと思う。東京の真ん中で、こんな鉛筆を使う者は、新聞記者の外には無い。新聞記者が、贅沢な万年筆やシャープ鉛筆を使ったんでは、一時間に二三百行も書くような、恐ろしいテンポの早い原稿は書けないと言うことだ。これは君から聞いた話だから嘘ではあるまい。そして、その原稿を書く武器は、社からダースで支給する、恐ろしい粗悪な雑用鉛筆だというでは無いか。新聞記者のポケットには、こんな鉛筆が二三本屹度忍んで居ることは、私もよく知って居る。さて第三に、この犯人は、身の丈五尺一寸前後、身体の非常に軽快な小男だ。これは説明するまでもなく、探偵術の初歩を応用すれば判ることだ――人間は壁などへ物を書く時は、必ず自分の眼の高さに書くものだ。この文字の高さから見ると、犯人はかなり小柄な方で、君のようなノッポでないことだけは確だ」

話はだんだん具体的になって、千種十次郎の頭の中にも、犯人の風貌を描き出すことが出来るようになりました。