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がまのち
日本怪談大全 第一巻 女怪の館
田中 貢太郎
田中貢太郎『日本怪談大全 第一巻 女怪の館』。同一底本的分册已合并为一书。收入:蟇の血、赤い土の壺、赤い花、馬の顔、切支丹転び、藤の瓔珞、草藪の中、仙術修業、頼朝の最後、雪の夜の怪、港の妖婦、神仙河野久、文妖伝、女賊記、春心、岐阜提灯、女の首、女の怪異、妖影、牡蠣船、雑木林の中。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 192,678 字 · 394 页
なんかって私が出ようとすると、ひやかすものですから、
(おいらは親方の用事で来てるのだよ、きちょうめんな壮佼だ、ふざけたことを云うない)
なんて大きなことを云って、外へ出てみると雪になってるじゃありませんか、それもたった今降りだしたと見えて地べたは白かあなかったのですよ。
それから停留場へ来て見ると、赤電車が出ようとするところじゃありませんか、急いで後から飛び乗って、見ると、三人の客がいるのですよ、酒に酔ってるし、どんな客がいるのか、それをべつに知ろうとも思わないから、わたしは、そのままその前に腰をかけて、右の肱を窓際に靠して、それに頬をのっけてたが、なんだか眼の上に、魚の鱗でもはめられたように、眼の工合はわるくないが、物がはっきり見えないので、電気にでも故障があるだろうかと思って、じっと、車の天井の方を見てて、雪のことを思いだしたので、その眼を車の外の方へやったところで、いやじゃありませんか。
内から燈が射してるので、はっきり見えないはずの外が見えるのですよ、雪がちらちらと降ってて、そのまた雪が銀の鏨屑のように見えるのですよ。
しかし、まあ、それはわたしが酔っていたせいかも判らないのですが、それでもわたしは、あまり外がはっきり見えるのが鬼魅がわるいから、見るのをよして、また窓際に頬杖をしていたのですが