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がまのち
日本怪談大全 第一巻 女怪の館
田中 貢太郎
田中貢太郎『日本怪談大全 第一巻 女怪の館』。同一底本的分册已合并为一书。收入:蟇の血、赤い土の壺、赤い花、馬の顔、切支丹転び、藤の瓔珞、草藪の中、仙術修業、頼朝の最後、雪の夜の怪、港の妖婦、神仙河野久、文妖伝、女賊記、春心、岐阜提灯、女の首、女の怪異、妖影、牡蠣船、雑木林の中。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 192,678 字 · 394 页
政雄の目についたのはシャツを売る店であった。シャツ売の商人は、大きな声で喚いていた。政雄も一つシャツが欲しかったが、そこで買おうとは思わなかった。
威勢の良いシャツ売の方を見ていた政雄は、何かの拍子にふと己の前を見た。そこに壮い小柄な女が立って、その両方に学生風の青年が立っていたが、挙動が怪しいので注意すると、二人の青年はその女に某種の手段を用いているところであった。それを見ると政雄の好奇心が動いて来た。政雄はそっと右の手を女の帯際にやった。と温な指がそれにかかった。政雄は反響があったと思ったので、三足ばかり右の方へ寄って待っていた。と、女がそれとなしに青年の間を脱けて寄って来た。政雄は女はたしかに己のものだと思った。政雄は空地と人家の間になった狭い横町の方へ歩いた。そして、揮り返ってみると、女が来るようにないので、さてはこちらの思い違いであったのかと、軽い失望を感じながら歩くともなしに歩いていると、後から来て己を追い越して往くものがあった。見るとそれは彼の女であった。政雄は喜んで女から一間ばかり離れて歩いた。
女はその横町を往って四辻に出ると、左の方に折れて往った。