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がまのち
日本怪談大全 第一巻 女怪の館
田中 貢太郎
田中貢太郎『日本怪談大全 第一巻 女怪の館』。同一底本的分册已合并为一书。收入:蟇の血、赤い土の壺、赤い花、馬の顔、切支丹転び、藤の瓔珞、草藪の中、仙術修業、頼朝の最後、雪の夜の怪、港の妖婦、神仙河野久、文妖伝、女賊記、春心、岐阜提灯、女の首、女の怪異、妖影、牡蠣船、雑木林の中。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 192,678 字 · 394 页
※(ローマ数字5、1-13-25)
「おかしいなあ、私が、小供に云ったことも、別に跫音のようなものを聞いたのでもないですが、なんだか、そんな気がしたのですから」
「変ねえ、なんでしょう」
と、女の子は物恐れの顔をした母親を見た。私はたしかにその女のいないことが判ったし、何時までもそんなことを云っているのが気の毒にもなったので、
「では、他を探してみましょう、どうも失礼いたしました」
そう云って私はその家を離れたが左右の隣家で聞いてみるのも厭になったのでそのまま帰って来た。帰りながら櫛のことといっしょにして変な気になった。
※(ローマ数字5、1-13-25)
私はもうその女のことは思うまいと思った。それでも、そんな不思議なことがあったために、なおさら頭にこびりついて離れなかった。しかし、うしろめたいので、何人にも話さなかった。
その次の日曜日のことであった。会社の帰りに市ヶ谷にいる軍人に用事が出来たので、帰りに市ヶ谷へ廻り、またそこで酒を飲んで、十時比帰って来て、飯田橋で一度電車を乗り換え、二度目に水道橋で大塚行の電車へ乗って、後の上り口の処へ立っていると、春日町の方から来た電車と壱岐坂下の手前で擦れ違った。