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がまのち
日本怪談大全 第一巻 女怪の館
田中 貢太郎
田中貢太郎『日本怪談大全 第一巻 女怪の館』。同一底本的分册已合并为一书。收入:蟇の血、赤い土の壺、赤い花、馬の顔、切支丹転び、藤の瓔珞、草藪の中、仙術修業、頼朝の最後、雪の夜の怪、港の妖婦、神仙河野久、文妖伝、女賊記、春心、岐阜提灯、女の首、女の怪異、妖影、牡蠣船、雑木林の中。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 192,678 字 · 394 页
太郎左衛門はふと妖僧の云った、「今日は天下に人も無いように、宗門を迫害しておるが、明日になれば、大久保忠隣をはじめ、伊賀守も、また、その方も地獄の苦しみを受けねばならぬぞよ」と、云った詞を思いだして、厭な気がする時があった。
その春のある夜、太郎左衛門は浜松の城下へ往っての帰りに、遅く村の入口の庚申塚の傍まで来たところで、行手に当惑しているらしい、二人伴の女の立ち止っているのを見た。朦朧とした月の光に一方の壮い方の女の艶かしい衣の端が光った。
「遠くから来た旅の人らしいぞ」
太郎左衛門はそう思うとともに、女に心が寄って往った。
「貴女方は、どちらへ往かれる」
女伴は驚いたように黙って太郎左衛門の方を透すようにした。
「お見受け申せば、御女中二人の旅のようでござるが、どちらへ往かれる、拙者はこの村に住居いたす者で、怪しい者でござらぬ」
と、太郎左衛門が云った。女はそれを聞くと安心したもののようであった。
「私は母方の親類を尋ねて往くところでございまするが、土地不案内のうえに、夜になりまして、難儀をしております」
「それは、さぞお困りであろう、何はともあれ、今晩は拙者の許に一泊して、明日ゆっくりと尋ねて往くがよろしかろう」