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あさくさふどき
浅草風土記
久保田 万太郎
雷門以北「東京日日新聞 夕刊」1927(昭和2)年6月30日~7月16日<br>吉原付近「中央公論」1929(昭和4)年2月<br>続吉原付近「中央公論」1929(昭和4)年3月<br>隅田川両岸「中央公論」1935(昭和10)年9月<br>浅草田原町「三田文學」1912(明治45)年2月<br>あやめ団子「花形」1920(大正9)年8月<br>相模屋の路次・浅倉屋の路次「新演藝」1920(大正9)年8月<br>浅草の喰べもの「中央公論 夏期特別號」1920(大正9)年7月<br>夏と町々「時事新報 夕刊」1929(昭和4)年6月1日~30日<br>絵空事「新潮」1932(昭和7)年3月<br>一年「東京新聞」1946(昭和21)年4月15日<br>浅草よ、しずかに眠れ「苦樂」1948(昭和23)年2月<br>夜店ばなし「婦人公論」1931(昭和6)年7月<br>除夜「週刊朝日」1930(昭和5)年12月28日號<br>正月「婦人公論」1932(昭和7)年1月<br>水の匂「文藝春秋」1941(昭和16)年7月<br>町々…… 人々……「別冊文藝春秋」1955(昭和30)年2月~6月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 162,294 字 · 318 页
二
――おっ母さんの身になったら、素直にそう働かれれば働かれるほど、人情にからみはしないだろうかと思いますが……
でも、二十一の暁になると、栄ちゃんは、すぐに、また、以前のとおりの秘蔵っ子に返るのです。そうして兵隊がすむと、許嫁の娘さんと一しょになるのです。――その許嫁の娘さんというのは、やっぱり同じうちにいるのですが、しかしこのほうは、お嬢さまさまでおくに納まっています。月に一度や二度は芝居にでも行くらしく、よく、おっ母さんや女中たちと一しょに車で出かけるのをみかけます。
たしか今年、栄ちゃんは二十になった筈です。――もう一年です。あともう一年で罪障が消滅します。
見世の月日と奥の月日とが、別々に経って、やがてまた、一しょになるのです。――それにしても、その、許嫁の娘さんはどう思っているのだろうと思います。
しかし角のつるやでは、そのうちに、もう、お雛さまをはじめて、じきにまた、五月人形をはじめましょう。
盆提燈がすむと、すぐに今度はお会式の造花。――そういううちにも、断えず、月日はながれて行くのです……」
二
いまをさる十一年まえ。――明治四十五年の一月に、わたしは、こうしたものを「三田文学」