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げんだいゆいぶつろんこうわ
現代唯物論講話
戸坂 潤
「現代唯物論講話」白揚社、1936(昭和11)年12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 251,295 字 · 490 页
カントの転回がカント自らによってコペルニクス的だと特徴づけられたその権利は、わずかにカントが自分の回天動地の偉業をコペルニクスの方向反対な回天動地の偉業になぞらえて自負したという、つまらない内容にしか過ぎないことになりそうである。
だが実はそうではないので、カントはここで第一に、コペルニクスが仮定している地球と太陽との間の運動の現象上の相対性を問題にしているのであって、哲学上でも、主観と客観との間には一応このような現象上の相対性が見出されるということを彼はここで第一に告げているのである。彼がヒュームの懐疑論によって独断の夢から醒めたと云っているのは、この哲学上又は認識論上の相対性原理に到着したことだったのである。
処でコペルニクスは、地球と太陽とのこの一応の相対運動にも拘らず、宇宙の他の諸運動との連関から見て、太陽が動くのではなくて、地球が動くのだということを、実験的に断定した。カントが感心したのは恰もコペルニクスのこの実験的決定(experimentelle Entscheidung)の仕方だったのである。カントも亦その哲学上の相対論を、実験的に(但し思考実験によってであるが)決定することによって、主観が存在の中心として把握されるのでなければ理論上不都合を生じるだろうと主張するのである。