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げんだいゆいぶつろんこうわ
現代唯物論講話
戸坂 潤
「現代唯物論講話」白揚社、1936(昭和11)年12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 251,295 字 · 490 页
ファッショ的段階に立ったブルジョア観念哲学は、その技術反対主義をば、唯物論打倒の名の下に遂行しようとしている。だが之は或る意味では全く正しいのである。なぜなら生産技術が極めて尊重すべき重大な哲学問題であるということは、唯物論的認識の最も大切な要石の一つなのであって、そして恰も従来の哲学は、それが観念論的であったその限りに於て、いつも技術の問題を問題の王座から逐い落しては来つつあったからである。
だが、何かの勝手な先入見を抜きにして見るなら、生産技術はいうまでもなくいつの世にも人間の実際生活の最も重大な一つであることは、誰しも否定出来ない処である。今日では、技術を呪う如何なる宣伝と雖も、印刷機や輪転機の技術的効果に対して私かに感謝しているに相違ない。だからブルジョア哲学でも仮にも哲学である以上、技術の問題に対して全く見向きもしないという態度は許されなくなるので、ブルジョア哲学の内にも「技術の哲学」という一群の著述と一つの伝統とさえがあることは、忘れられてはならない。
処で、こうした「技術の哲学」は技術をどういう風に取り上げるか。――一体技術という言葉自身は非常に多義な曖昧なものである。