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げんだいゆいぶつろんこうわ

現代唯物論講話

戸坂 潤

「現代唯物論講話」白揚社、1936(昭和11)年12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 251,295 字 · 490 页

青空文庫

このように分科的な観点に立てば、空間はどこへ行っても部分的な――恐らく多くの人々によれば余り重大ではない――一問題に過ぎないだろう。又理論乃至哲学が仮に分科的であり、従って又教科書的である限り、空間は哲学に取っても亦辺塞的な一問題に過ぎないだろう。それにも拘らず強いて之をテーマとして掲げようとすれば、その問題提出の動機は多分、ディレッタント的興味にあるか、それともエピソード風の余裕にあると、考えられる。

だが理論乃至哲学は、単なる科学と異って、分科的な観点に止まっていてはならぬ。それは統一的な観点に立って科学の諸問題を云わば立体的に分解し再組織しなければならぬ。それは教科書的である代りに、寧ろ云わば百科辞典的な眼を持つことを要求される。――そこで、空間の問題は、それが分科的見地から云って、他に較べもののない程、分散していただけに、一旦統一的な見地に立たされれば、それだけ一層浮き上って目立って来る問題となるわけである。空間の問題は、だから、多くの可なり呑気な哲学者達が想像しているような、部分的な思い付きから来る問題なのではない。――だが吾々がこう云うのには歴史的な根拠があるのである。