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げんだいゆいぶつろんこうわ

現代唯物論講話

戸坂 潤

「現代唯物論講話」白揚社、1936(昭和11)年12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 251,295 字 · 490 页

青空文庫

今日のヒューマニズムが評論家の口に上るようになったのは遂一二年程前からだと云っていいだろう。だが勿論今日のヒューマニズム論はそこから出て来たものではない。ヒューマニズムは一つの世界史的運動なのだ。今日のヒューマニズムと雖もこの運動の、現代風のそして又日本風の、一つの形態に他ならない。それは国際的運動にもぞくするのである。前に云ったフランスの文化擁護作家大会も亦このヒューマニズムに立脚した。或る作家達は之を更にコンミュニズムとも個人主義とも呼んだ。――だからその限り、之を単に行動主義の発展であるとか、又単に所謂「退潮期」の反動現象だとか云って、片づけることは出来ない。

文化上の常識によると、ヒューマニズムこそは近代文化・近世思想・の概括的な底流なのである。ルネサンス以来、文化・思想・の圧倒的な本流はここにあるのだと考えられる。それは人間の神からの解放として出発した・一切の人間の疎外化からの人間の恢復が近世文化の根本機能だが、それが即ちヒューマニズムだ、というのである。それに間違いはないのだ。

だが吾々の問題はここでも、唯物論とヒューマニズムとの関係にあるのである。