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げんだいゆいぶつろんこうわ
現代唯物論講話
戸坂 潤
「現代唯物論講話」白揚社、1936(昭和11)年12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 251,295 字 · 490 页
だがヒューマニズムの哲学としての無論理的な文学主義的欠陥をついた一つの例として、博士の分析は意味を有っているだろう。T・E・ヒューム(Hulme)のヒューマニズム批判(「芸術とヒューマニズム」)は、そのカトリック主義にも拘らず、ヒューマニズムがもはや近代的思想であり得ない点をついているので、明快な部分を含んでいる。彼は素より悪魔の唯物論に反感を有っているが、それにも拘らず、論理としては(決して社会理論や文化理論の内容からではない)、唯物論に対して攻撃を加える術を有たないように見える。それというのも、どっちもヒューマニズムに対立しているがためなのだ。
(退潮期現象として、モラル論や恋愛論が盛んになったと云われている。だが、モラル論や恋愛論を論じることによって退潮現象を少しでも深めるのでない限り、之は退潮現象を利した干潮現象とでも云うべきだろう。つまりこういう時期にこういう問題を整理しておかなくてはいけないのである。だがモラルをモラル主義によって、恋愛を凡ゆる種類の恋愛至上主義によって、取り上げることは、それこそ退潮期現象に他ならぬ。モラルは唯物論の(文芸学上・哲学上・の)一つの発展的な主題として取り上げられねばならぬ。