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げんだいゆいぶつろんこうわ

現代唯物論講話

戸坂 潤

「現代唯物論講話」白揚社、1936(昭和11)年12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 251,295 字 · 490 页

青空文庫

それは直観空間とは異った空間、幾何学的空間となる。

幾何学の根柢に横たわるもの、又は結局同じことに帰着するが、幾何学の対象となるもの、それは幾何学的空間である。それはもはや直観空間と同じ意味での直観性を有つことが出来ない。数学上の直観主義(Intuitionismus)――今日之はブラーエル等によって代表される――に従って、もし之を強いて直観と呼びたいならば、夫にはカントの感性的直観の概念ではなくて、例えばE・フッセルルの範疇的直観(kategoriale Anschauung)の概念こそ相応わしいだろう。

幾何学的空間も亦、空間の一つの現象形態に過ぎない。この空間――この範疇的直観――のもつ範疇性や直観性は、幾何学的空間それ自身に淵源するのではなくて、却って之を部分的な現象形態とする空間自体――それが何であるかは後を見よ――から来ると見ねばならぬだろう。

次に物理的空間の問題に這入る。そこでは云うまでなく物理学が参考されねばならず、又その限り幾何学乃至数学が参照されねばならぬ。処で物理的空間は幾何学的空間と直観空間とから、どう区別されるか。

物理的空間という独立した空間形態の存在は、その名が一般的に承認されているようには、承認されていない。