轻松读懂日语经典作品
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ささめゆき
細雪
谷崎 潤一郎
01 上巻
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 150,580 字 · 287 页
十六
「こいさん、お正月はいつ帰って来る」
と、強いてその涙を隠そうともしないで云った。
「四日には帰るわ」
「そんならお正月に舞うて貰うさかいに、よう覚えて来なさいや。あたしも三味線稽古しとくよってにな」
蘆屋に家を持ってからは、大阪にいた時のようには年始の客も来ず、まして二人の妹たちまで留守になるので、近年は正月と云うと、ひっそりとした、間の抜けたような日を送ることになっているのが、夫婦の者にはたまにしんみりしてよかったけれども、悦子はひどく淋しがって、「姉ちゃん」や「こいちゃん」の帰って来るのを待ちあぐんだ。幸子は元日の午過ぎから三味線を持ち出して、爪弾きで「万歳」のおさらいをして、三箇日の間ずっと続けたが、しまいには悦子も聞き覚えて、「緋紗綾緋縮緬、………」のところへ来ると、
「とんとんちりめん、とんちりめん」
と、一緒になって唄った。
十六
妙子の個展は今度は神戸の鯉川筋の画廊を借りて三日間開催され、阪神間に顔のひろい幸子の蔭の運動もあって、第一日で大部分の作品が売約済になると云う成績を挙げた。幸子は三日目の夕方、会場の取り片附けを手伝い旁雪子や悦子たちを連れて来たが、残務を終えておもてへ出ると、