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くしんのがくゆう

苦心の学友

佐々木 邦

「少年倶楽部」1927(昭和2)年10月号~1929(昭和4)年12月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 162,732 字 · 332 页

青空文庫

「僕はもういやになってしまう。級長をよそうかと思っている」

とある日温厚な松村君が嘆息した。れいのとおり揃って花岡家へ遊びにきていた時だった。それがきっかけになって堀口生の話が始まった。

「おれはどうしてもやるぞ」

と細井君はこぶしをかためてみせた。

「えいっ!」

と折りから正三君が飛び立って、榎の大木の幹をたたいた。

「どうしたんだい?」

と高谷君がきいた。

「堀口をなぐる稽古だ。僕は毎日やっている。見たまえ。手がこのとおりだ」

と正三君はかたくなっている掌を示した。

「きみもやる気だったのかい?」

「やるとも」

「僕もやる。僕はそのつもりで相撲ばかりとっているんだ」と高谷君も同感だった。

「堀口は強かない。口ばかりだ」

と細井君は確信的にいった。

「いつかの喧嘩はきみの方が勝っている。それから僕が押したら尻餅をついたろう? 起きてかかってきた時、僕はやる決心だった」

と正三君は目をかがやかした。

「それじゃきみたちは皆やるつもりだね?」

と松村君がニコニコした。

「やるとも!」と三人は異口同音だった。

「やれやれ!」

と照彦様は芝生の上で踊りだした。

「ゆくぞ」

と高谷君が組みついた。