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くしんのがくゆう

苦心の学友

佐々木 邦

「少年倶楽部」1927(昭和2)年10月号~1929(昭和4)年12月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 162,732 字 · 332 页

青空文庫

家からおやしきへ

「いや、おことばを返してはすみませんが、これぐらいの今日は平民にもあります」

「どうもおまえは思想がよくないよ」

「まあまあ、裕助はおだまりなさい。けれどもあなた、これは正三の一生涯に関係することですから、一応正三の意向もたしかめ、私にも相談してくださるのがほんとうでございましょう?」

とお母さんも多少言い分があるようだった。

家からおやしきへ

内藤家では三男の正三君を花岡伯爵家へご三男様のお学友としてさしあげることについて相談が続いた。忠義一図のお父さんは一も二もなくお受けをしてきたが、二男の裕助君が異議を申し立てたのにおどろいた。お母さんも無条件の賛成でなかった。得心のような不得心のようなことばかりいう。お殿様や奥様のご懇望を考えるとうれしいが、正三君を手ばなすのだと思うと悲しくなる。姉さんたちも女心は同様だった。そこでお父さんは、

「他人の中といっても、よそと違っておやしきだよ。お殿様はごく平民的で物の道理のよくわかったお方だ。奥様も情け深い。奉公人がみなほめちぎっている。しかし正三は奉公人としてあがるんじゃない。ご三男様のお相手として万事ご三男様と同じ待遇を受けるんだ。