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くしんのがくゆう
苦心の学友
佐々木 邦
「少年倶楽部」1927(昭和2)年10月号~1929(昭和4)年12月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 162,732 字 · 332 页
正三君は赤面した。朝からこれで二度めになる。秀才もほかに屈託があるとこのとおりだ。
放課後、正三君と堀口生は小使い部屋の裏で相会した。ここはゆきどまりでだれもこないから、喧嘩には屈竟のところだ。堀口生には尾沢横田篠崎小川の四名がついていた。正三君の左右には高谷細井松村花岡の外に十五、六名ひかえていた。堀口生はやや案外のようだった。尾沢生がまず進みよって、
「内藤君、そんなに弥次馬をつれてきてもだめだ。一人と一人でやるんだ。きみ一人こっちへ出たまえ」
といった。
「出るとも」
と正三君が応じたとき、高谷君も進み出た。
「高谷君、一人と一人だよ」
「しかし堀口にはきみがついているじゃないか?」
と高谷がなじった。
「僕は介添えだよ」
「なに?」
「介添えよ。世話役だ」
「それじゃ僕も内藤君の世話役だ。介添えだ」
「そうか。待て」
と尾沢生は自分ひとりで計らうことができない。親分のところへもどってしばらく耳打ちをした後、
「それじゃ内藤の介添えになれ。二人で出てこい。しかし手出しをすると承知しないぞ」
ときめつけた。
「それはおたがいだ」
と高谷君はかばんを松村君にわたして、正三君もろとも進み出た。