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くしんのがくゆう
苦心の学友
佐々木 邦
「少年倶楽部」1927(昭和2)年10月号~1929(昭和4)年12月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 162,732 字 · 332 页
「尾沢君しっかり!」
と応援するだけだった。
正三君と尾沢生はすぐになぐりあいを始めた。正三君は唇から血がしたたってものすごかった。尾沢生はたちまち鼻血を流した。一上一下虚々実々とまではいかないが、一しきりは実に猛烈だった。
「内藤! 内藤!」
と照彦様は気違いのようになって騒ぎたてる。しかし心配は無用だった。正三君の横なぐりはあたると実にきく。榎の幹をたたいてきたえただけのことがあった。尾沢生は口先ばかりだ。ただ堀口生にけしかけられて気が強くなっているのだから、一騎打ちでは元来正三君の敵でない。まもなくなぐりたおされて、
「まいった。まいったよ」
と弱音をふいた。もう立って戦う勇気がなかったのである。
高谷君はすでに一勝負すませて二度めだった。
しかし今度は同体に倒れてちょっともみあった末、どうやら下になりかけている。いくらひいき目に見ても形勢がわるい。
「高谷君、しっかりしっかり!」
と細井君は気が気でない。場合によっては手つだうつもりだった。
「大丈夫だ!」
と高谷君は敵の手を固くにぎって下からひっくり返そうとしている。そこへ正三君が駈けよって、
「えいッ!」