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くしんのがくゆう

苦心の学友

佐々木 邦

「少年倶楽部」1927(昭和2)年10月号~1929(昭和4)年12月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 162,732 字 · 332 页

青空文庫

きみの部屋があるだろう?」

「兄さんの部屋があります」

「そこへつれていってくれたまえ」

「はあ。ちょっとお待ちください」

と正三君は立っていって、お母さんに相談した。

「それじゃ祐助の部屋へご案内申しあげなさい」

「お母さんや姉さんは来ない方がいいです。若様はよそへおいでになったことがありませんから、恥ずかしいんです」

「でもお茶ぐらいさしあげなければ」

「いけません」

「なぜさ?」

「そんなものをさしあげれば、すぐにお帰りになります」

とうちあわせて、照彦様を祐助君の書斎へ通した。

「机が二つあるね」

と照彦様は見くらべた。

「一つは僕のです」

「内藤君、僕はこんなことだろうと思ったから、ついてきたんだよ」

「なんでございますか?」

「きみは兄さんと手紙で相談して、もうやしきへ帰らないつもりできただろう?」

「そんなことはありません」

「でも、いもしないきみの机がチャンとおいてある。座ぶとんまであるじゃないか?」

「若様、これは兄さんがわざとこうしておくんです。僕がいなくて淋しいからです」

「でも、おとなじゃないか?」

「おとなでも僕をかわいがってくれるからです。僕がこの部屋にいるつもりで、夜なんか時々、『正三』