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せいねん
青年
「昴」1910(明治43)年3月~1911(明治44)年8月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 123,670 字 · 246 页
日本で園派の漢学や、契冲、真淵以下の国学を、ルネッサンスだなんと云うが、あれは唯復古で、再生ではない。そんならと云って、過去の記憶の美しい夢の国に魂を馳せて、Romantiker の青い花にあこがれたって駄目だ。Tolstoi がえらくたって、あれも遁世的だ。所詮覿面に日常生活に打っ附かって行かなくては行けない。この打っ附かって行く心持が Dionysos 的だ。そうして行きながら、日常生活に没頭していながら、精神の自由を牢く守って、一歩も仮借しない処が Apollon 的だ。どうせこう云う工夫で、生を領略しようとなれば、個人主義には相違ないね。個人主義は個人主義だが、ここに君の云う利己主義と利他主義との岐路がある。利己主義の側はニイチェの悪い一面が代表している。例の権威を求める意志だ。人を倒して自分が大きくなるという思想だ。人と人とがお互にそいつを遣り合えば、無政府主義になる。そんなのを個人主義だとすれば、個人主義の悪いのは論を須たない。利他的個人主義はそうではない。我という城廓を堅く守って、一歩も仮借しないでいて、人生のあらゆる事物を領略する。