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おうごんかめん
黄金仮面
江戸川 乱歩
作者――江戸川乱歩氏曰く「キング」大日本雄弁会講談社、1930(昭和5)年8月号<br>黄金仮面「キング」大日本雄弁会講談社、1930(昭和5)年9月~1931(昭和6)年10月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 143,357 字 · 287 页
大爆発
「ハハ……、イヤ御苦労御苦労もういいんだよ、波越君さえ着弾距離の外へ逃げてしまえば、僕はおとなしくするよ」
突然明智がピストルを下げて笑い出した。仮令武器を奪ったとて、残る三挺のピストルに敵対出来る筈はない。明智の巧みなトリックに過ぎなかったのだ。死にもの狂いの睨み合いで、賊の注意を一身に集め、その隙に波越警部を逃がす咄嗟の思いつきなのだ。
「畜生め」
明智が力を抜いたので、今まで腕をねじ上げられていた奴が、いきなり飛びかかってピストルを奪い返し、反対に明智の背中へ銃口を押しつけた。
「こいつは俺が引受けた。早く波越の奴を追駈けてくれ。逃がしては取返しがつかんぞ」乱暴な仏蘭西語が怒鳴った。
云われるまでもなく、残る三人の黄金仮面は、星明りに金色のマントを飜して、滅茶滅茶にピストルを発射しながら、遙かの人影を追って走り出した。
大爆発
大仏の胎内には天井からぶら下った、アセチリン燈がただ一つ、広い空洞をおぼろげに照らしていた。
縦横に交錯する鉄骨、鍾乳洞へでも入った様な、コンクリートの内面の不気味なでこぼこ、その辺に転がっている茶箱の様な荷物(その中にルパンの数々の贓品が入っているのだ)。