轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
いやなかんじ
いやな感じ
高見 順
「文学界」1960(昭和35)年1月~1963(昭和38)年5月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 292,113 字 · 587 页
きっと俺を睨んだ中尉は、刀帯からはずして畳に置いた軍刀に、今にも手をかけんばかりの剣幕だった。
お、面白れえや、斬るなら斬ってみろと、俺は肩を怒らせて、睨みかえしてやった。
慷堂は、うしうしと犬の喧嘩でもけしかける調子で、
「血の気の多いこのあばれん坊は、まだ何をやらかすか分らん」
俺のことをそう言って、
「北槻中尉も、なかなかの激情家だな」
「だって、先生……」
「わしだって、大杉栄とつきあいのあった男だ」
「先生が?」
童顔を醜く歪ませた中尉に、
「北槻中尉だって、レーニンとつきあっとる」
ワッハッハと慷堂は笑って、
「カタキ同士の君たちを、そのうち、わしが仲良くして見せる。国を憂えている点では同じさ」
「国を……?」
と俺は言った。ちがう――と言おうとしたとき、俺の心に、俺は何を憂えているのだろうという疑問が来た。
「砂馬君だって、しょせんは、そうだ」
慷堂はそう言って、鋭い眼で俺を見据えて、
「あの狙撃事件のとき、君は一体いくつだったのだ」
「十九です」
「十九?」
そんな若造が、大それた……と慷堂は、あきれていたが、
「もっとも、わしだって、その年ごろはもう、大いにあばれとったな」