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いやなかんじ
いやな感じ
高見 順
「文学界」1960(昭和35)年1月~1963(昭和38)年5月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 292,113 字 · 587 页
波瀾の歴史を――それにみずからも参加している過去の歴史を、慷堂は淡々と語るのであった。
「勝ち誇った袁世凱はみずから帝位に即こうとした。ここで帝政が実現したら、中華民国は雲散霧消、そうさせてはならぬと、わしらは支那に渡って反袁革命軍に身を投じた。わしはさきに話に出た梶川悲堂と青島に行った」
「それが東北革命軍ですか」
北槻中尉はリンゴのような頬をいよいよ紅潮させていた。
「革命軍になくてはならぬものは武器弾薬だ。それの調達を日本のわしらが引き受けた。日本で調達して、わしらはそれを支那人に送ろうと企てた。これはついこの間のような気がするが、左様、わしがちょうど四十のときだったな」
「武器の入手は、先生、軍からの払い下げでなかったら、不可能だったでしょうが」
北槻中尉は声をひそめて言った。
「名前は言えぬが、軍にはちゃんと、枢要の地位にある人で、わしらの共鳴者がおったのだ。とは言え入手にはすこぶる苦心したものだ。その武器をいよいよ船に積んで送り出すという段になって、門司の水上警察に見つかって、おさえられてしまった。これには弱った。銃器弾薬の持ち出しは厳禁だ。