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いやなかんじ

いやな感じ

高見 順

「文学界」1960(昭和35)年1月~1963(昭和38)年5月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 292,113 字 · 587 页

青空文庫

「もう一人、早く呼んでこいよ」

砂馬は女に言った。

「四人集まんなきゃ、話にならない」

「四人のうちから選ぼうというの? 選び直すの?」

「そうじゃないんだ」

「おトコつけるのは、あたしとクララさんときまってるんでしょう? だったら、あんた……」

「そうでもないんだ」

と砂馬が遮った。

「そうでもない?」

「ゼニを出しゃ、いいだろう。ゼニを」

「ゼニ、ゼニ言いなさんな。いくらくれるつもりなの?」

「そっちのサービス次第だ」

「どういうサービス?」

「四人ともここへ寝るんだ」

「ここへ?」

「狭いけどな」

「四人とも?」

「ハダカで寝るんだ」

「ハダカを並べといて、どうしようっての?」

「分んねえのかねえ」

砂馬はじれったそうに、

「そういう客だっているだろう」

マリちゃんは白痴みたいにポカンと口をあけていた。そしてクララは下唇を噛んでいた。

「ジャンケンをして順々に……」

「冗談言っちゃ、いけないわよ」

女は砂馬を見据えた。

「冗談を言ってんじゃない。ほんきだ」

「ほんきらしいから、こっちも言ってんのよ。いやらしい」

「そうムキになるなよ。面白いじゃねえか」

「お客さんには面白いかもしれないけど、こっちは、ちっとも面白かないわよ」