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いやなかんじ
いやな感じ
高見 順
「文学界」1960(昭和35)年1月~1963(昭和38)年5月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 292,113 字 · 587 页
爆弾は直径一寸五分ほどの球型のもので、四発が一連となった擬砲弾だった。これが爆発すると、四門の大砲から砲弾が連続的に発射されるのと同じ音響を発するのだ。殺傷力はないが、砲煙が高く天に沖するという。
テロリスト時代の俺は爆弾をつくるのにどんなに苦心したことか。山の工事場に、人夫に化けてはいりこんで、爆破用のダイナマイトをくすねたり――それを思うと、軍から簡単に支給され、入手できる今度の場合は、なんだかあっけないくらいだった。慷堂も指摘していた、軍を抱きこむことの重要さをしみじみと感じさせられた。
だが、俺はこのクーデターが成功したあかつきは、どういうことになるのか、それは深く考えなかった。考えないようにしていたとも言える。投爆ということそれ自身に胸をおどらせていたようだ。
三月になっても寒かった。寒いある日、俺は慷堂の家を訪ねた。今度のクーデター計画に、民間人として参加しているのは小川博士で、慷堂は参画していなかったが、内情は知っているらしく、
「尾垣大将の権勢欲に利用されねばよいがね」
とひややかに批判的な言葉を吐いた。
「尾垣大将は自分から動いたのでなくて、皆から担ぎあげられている形ですが」