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いやなかんじ

いやな感じ

高見 順

「文学界」1960(昭和35)年1月~1963(昭和38)年5月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 292,113 字 · 587 页

青空文庫

三下で結構――かならずしもそういうことではなかったが、計画そのものが俺にはひどく魅力的だったのだ。

三月事件とくらべると、今度の計画は、はるかに激烈なものだった。前が不発に終っただけに、今度こそ一挙にという意気込みが計画に激烈さを加えたのだろう。

投爆者として俺が参加する予定だった三月事件の場合は、襲撃目標の首相官邸や政党本部に爆弾を投ずるといったところで、実際にはあまり殺傷力のない爆弾を威嚇的に用いるだけのことだったし、議事堂の襲撃も大臣の総辞職をそこで強要するというのにすぎない。しかし今度の計画では、首相官邸の閣議の席を襲って、首相以下大臣をことごとくその場で斬殺しようというのだ。うむを言わさずぶった斬ってしまおうというのだ。

実に痛快きわまりない。血湧き肉踊るとはまさにこのことだ。尾垣大将ひとりを狙撃するということだけでも俺はこおどりしたもんだが、一人だけの暗殺ではなく大臣どもをタバにしてぶっ殺そうというんだから、愉快である。こんな愉快なことがまたとあろうか。

権力の座にヌクヌクとおさまっている大臣どもが、白刃の前でどんな正体をさらすか。権力に守られているからこそ、大臣の椅子に傲然とふんぞりかえっている奴らも、いざとなったら、おそらく、いや、さぞかし、だらしがないことだろう。