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いやなかんじ

いやな感じ

高見 順

「文学界」1960(昭和35)年1月~1963(昭和38)年5月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 292,113 字 · 587 页

青空文庫

波子はお尻の横に、貝が舌を出した恰好で、足を出していた。行儀が悪いというよりそんな波子は可愛く見えたが、

「すっかり波子は悪くなったな」

「なぜ?」

「そんなことを言うのが悪くなった証拠だ」

丹前をひっかけた波子のうしろから俺は、抱きしめるなんてことじゃなくて、襲いかかった。

「乱暴ねえ」

「ああ乱暴だとも」

素人娘をどう扱っていいのか、俺には見当がつかない。

「俺は波子を大切にしてきたけど、もうやめた。店のお客なんかと、こんなところへ来て、一緒に風呂にはいったりしたのか」

「まさか」

大人っぽい語調で否定して、

「痛い。そんなに手に力を入れちゃ……いや、いや」

湯上りの肌の匂いが俺の顔をむっと蔽った。俺はやにわに波子を横倒しにして、膝の間に手を入れた。

「駄目、そんな……」

不意に子供っぽい声で、

「そんないたずらしちゃ、いや」

「いたずら?」

変なこと言うなと、もがく波子をおさえつけて、

「こんなもの、はいてんのか」

俺もいたずらの気持になって、ズロースをつまんで、

「要塞堅固だな」

「知らない」

波子は俺を突き飛ばして、

「お願いだから、もっとやさしくして……」

「いやがるからだ」