轻松读懂日语经典作品
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いやなかんじ
いやな感じ
高見 順
「文学界」1960(昭和35)年1月~1963(昭和38)年5月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 292,113 字 · 587 页
「こんなさみしい、みじめな暮し……」
「いいえ、ものは考えよう。二人だけの楽しい新婚旅行だと思えば、いいじゃないの」
赤っぽい光を投げている八燭の電球を頭の近くまでさげた波子は、針の手を休めず、縫い物に精出している。
「短い旅行ならいいけどな」
「あんただって、いつまでも、ここで、こんな暮しをしている気はないでしょう。そのうち、あんたは――度胸のあるあんたのことだから、きっと、どえらい仕事をする人だと、あたしは思うわ」
「なんだ、俺と一緒になる前は、カタギになれと言っといて……」
「前みたいな、あんなあぶないことは、まっぴらよ」
「ああいうんじゃない、どえらい仕事……?」
「赤ちゃんが生れるまで、ここにいましょうよ」
「うん」
俺はまたしても、ロシアの女性テロリストのことを思い浮べた。思い浮ばせるものがやはり波子にはあるのだろうか。ドヤのシャリマだったころ、俺のピストルを見ても驚かなかった波子。世間並の娘とちがって、俺の人殺しの話を聞いても動じなかった波子。――
ツァーの暗殺で有名なソフィア・ペロフスカヤは女の身でテロリスト団の指揮に当っていた。暗殺計画、その準備、すべてを彼女が行なった。