轻松读懂日语经典作品
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いやなかんじ
いやな感じ
高見 順
「文学界」1960(昭和35)年1月~1963(昭和38)年5月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 292,113 字 · 587 页
罐詰に使えないロスケガニ(アブラガニとも言う)や花咲ガニも網にかかっているので、それはハネとして取り除かねばならぬ。アミについているウキや沈石を取りはずすのも女工たちの仕事である。去年は波子も女工なみにこの立ち仕事をやっていたが、今は赤ん坊から手が離せないのでまだ働きに出られない。「もったいない」と言いながら家にいた。
仕事がひとかたつくまで、金原は近くの屋台でラムネを飲んでいた。女工相手の屋台だから酒はない。
「やあ、待たせたな」
俺は屋台へ行って、
「大福餅でも貰おうか」
かんじんの右の片腕のない屋台の老人が、へいと言った。金原は瓶の底にすこしばかり残ったラムネをコップにそそいだ。瓶の口のあのガラス玉をチリンチリンと鳴らしてそそぎながら、
「今そこで、綾子……じゃねえ、ガンケ(親方)の奥さんに会った。野中さんにご用? なんて言ってやがった」
「言ってやがった――はないだろう」
と俺は言った。往年のアナーキストも今はどう見たって、ざいごから出てきたどん百姓だ。町場の人間には見えない。ながい冬ごもりの間、石炭がわりに煙の立つ木の根っこなどたいているせいか、眼をすっかりやられて、赤くただれていた。