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いやなかんじ
いやな感じ
高見 順
「文学界」1960(昭和35)年1月~1963(昭和38)年5月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 292,113 字 · 587 页
俺は彼女と挨拶をかわしながら、
(砂馬の野郎、いい女をものにしやがった)
と羨望に駆られたが、
(なーに、金のせいだろう)
心の中でそう毒づいた。だが、当の彼女が砂馬の金に眼がくらんだとばかりは思えない、そんな白痴的な女ではない感じなのは、いまいましかった。
「上海から今、漬け物がとどきました」
と彼女は言って、送り主の名を書いた紙を砂馬に示した。中国人の名だが、砂馬は首をかしげて、こんな名に覚えがないがと言って、
「漬け物……?」
「大きな樽なんです。船便で上海から送って来たんですが、くさい臭いがするんで、支那の漬け物じゃないかしらって」
「漬け物をなんだって、わざわざ送って来たんだろう」
砂馬はいぶかしげな表情だったが、
「とにかく、あけてみな。あけさせてみな。漬け物だとしたら、支那の漬け物はうまいからな。四郎さんにもお裾分けしよう」
細君が俺にお辞儀をして部屋を去ると、
「慷堂先生もお気の毒だな」
砂馬が俺に言った。
「まず助からないだろうな」
「どういう意味だ」
「ありゃ、どうも見込みがないな」
おそらく死刑だろうと砂馬は言った。ひややかな口調にも俺はカッとなって、