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いやなかんじ

いやな感じ

高見 順

「文学界」1960(昭和35)年1月~1963(昭和38)年5月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 292,113 字 · 587 页

青空文庫

「にしても、直接取引じゃ、なるほど、ボロイ儲けだな」

「間に、軍という厄介なのが頑張ってる」

「阿片密輸に眼を光らせてる?」

「そういう建て前にはなっているがね」

奥歯にものがはさまったような言い方をして、

「こいつは四郎さんにも、今まで黙ってたことなんだが、俺たちの間だ、言っちまおう。ただしこれは極秘事項だぜ。うっかり他言したら……」

「イノチはないか」

「ま、そう思って貰わなくちゃ」

まんまるい身体に似合わぬ鋭い眼で俺を見据えて、

「阿片厳禁の建て前で、一番アマイ汁を吸ってるのは軍だろうな」

「眼こぼしに、うんと金を出さなくちゃならんから……?」

「いいや」

「カキ(わいろ)に金がかかるんじゃないのか」

「ワイロなんかじゃ、儲けにならない。もっとシコタマ儲けてるんだ」

丸万はにやりと笑って、

「表面は厳禁の建て前で、裏はその反対なんだ。逆に密培を軍の手で保護している。密培という形は形で、栽培を奨励している。採集した鴉片(阿片)も、軍の保護で、堂々と運び出させる」

「ふーん」

うめえことをしてやがると、軍のやり口に俺は、憤慨を通りこして感心した。

「この保護代が大変だ。保護代をごっそり取られる」