轻松读懂日语经典作品
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いやなかんじ
いやな感じ
高見 順
「文学界」1960(昭和35)年1月~1963(昭和38)年5月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 292,113 字 · 587 页
三人並んでも悠々の席に俺と丸万の二人が乗って、若者は運転台に乗った。
「これは砂馬の大将が特別の用事のときに使っている車だ。四郎さんの迎えに特にこれを使わせてくれた。このハヤグル(自動車)に乗ってれば、どこへでも行ける」
丸万はそう言って、
「河向うへ行こう」
クララこと照子のいた隅田川の向うの私娼街を俺たちは「川向う」と言ったものだ。
「フランス租界に、うまい支那メシ屋があるんだ。この車なら、行ける」
砂馬も、あとでそこへ来ると丸万は言った。
戦禍のまだ生々しいブロードウェー路を車は走っていた。
「矢萩の子分が、四郎さんをぶんどりに碼頭に来てやしないかと思ったが……」
丸万は低い声で、
「無事にすんだ」
「まだ分らねえな」
と運転台の若者が言った。明らかに俺に反感を持っている。それを俺に、そして丸万に隠そうとしない。そんな男をどうして丸万は連れて来たのか。
「分らねえ?」
カチンと来た俺は、
「お前さんは矢萩の身内かい?」
とからかった。男は黙っていた。
「朝倉の口か?」
「四郎さん」
と俺の口を封じて丸万は内ポケットに手を入れた。そっと何か取り出して俺の腿に置いた。