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いやなかんじ
いやな感じ
高見 順
「文学界」1960(昭和35)年1月~1963(昭和38)年5月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 292,113 字 · 587 页
俺の顔に笑いが浮んだ。なにを、いい気になってやがると俺は思った。
俺の笑いが矢萩に殺気を感じさせたのか。矢萩はテーブルのピストルに、そっと手をのばした。
「おっと待ちな」
俺はテーブルの上を、さっと手で拭うようにして、ピストルを二挺とも床の向うにすっ飛ばした。
「なにをしやがる」
と矢萩は色をなして立ち上った。
俺は、まあまあとなだめる手つきをしながら、矢萩をなだめるというより実は俺自身をなだめていた。それでおのずと俺の手つきも、招き猫の手みたいと言うか、猫がじゃれるみたいなふざけた手つきになって、それが矢萩を一層怒らせた。
「こいつ、おとなしく出てりゃ、つけあがりやがって……」
「悪かったな。ヘイコラしないのが、気にいらない? 照ちゃんみたいな絶対服従じゃないといけねえのか」
よけいな口をきくまいと思いながら、口のほうが勝手にまくし立てる。そしてその自分の言葉に俺もいよいよ昂奮して、
「俺を照ちゃん同様に扱う気か。照ちゃんをイタめたみたいに、俺を殴ろうというのかい」
俺を今にも殴りつけんばかりの矢萩の態度が、俺にこれを言わせていたところもある。それで俺は、